たま樹の「 日本舞踊 コラム」
2025/12/28
コラムその8『日本舞踊のレシピ』
前回は日本舞踊の構成について書かせて頂いたので、今回はその成分についてレシピ風に書いてみようと思います。
「吉原の近江風!廓八景」
材料
①ストーリー 8景
②振付 約10分~15分
③扇子 1本
④男 3/4人
⑤女 1/4人
⑥清廉な心持ち 心いっぱい
煮汁
⑦音楽 1曲
⑧様式 格調高く
⑨基礎 日々の努力分
⑩知識・経験 お好みで
手順
①のストーリーを知りましょう
江戸吉原を近江八景になぞらえて、様々な情景を表現する演目です。
歌川国貞(三代豊国)筆「北廓月の夜桜(ほっかくつきのよざくら)」
②の振付を覚えましょう
振付には、「踊り」と「型・しぐさ」と「芝居」
の要素があります。各々の要素を大切にしましょう。
③扇子1本で色々な見立て(コラムその4参照)をします
扱いに慣れるよう頑張りましょう。
扇子は九寸五分(約29cm)が基本ですが、たま樹のように身体の大きな女性や男性は尺(約30cm)の扇子を使います。
④と⑤の男性役と女性役を代る代る踊ります
構成(コラムその7参照)
出端・男性→クドキ・女性→踊り地・男性→チラシ・男性
⑥の清廉な心持ちで御辞儀しましょう
板付き(曲の始まりから舞台にいる)で始まります
⑦ の音楽は常磐津「其侭廓八景(そのままにくるわはっけい)」
天保時代初期 1830~1835年に作曲されました。
時を越えた音楽に包まれましょう。
日本舞踊の音楽には長唄、清元、常磐津、義太夫、大和楽などの種類があり、各々の魅力があります。
⑧の様式は祝儀物
素踊り(コラムその5参照)で格調高く踊りましょう。
祝儀物の他に道成寺物(道成寺伝説をモチーフにしている)、獅子物(文殊菩薩の乗る霊獣獅子が舞う)、狂乱物(幻を追いかけてさまよう)、風俗舞踊(江戸の生活・様子を踊る)などなど色々なジャンルがあります。
⑨の基礎を研きましょう
日本舞踊の基本的な身体の状態や扱いを日々のお稽古で身に付けていきます。
猫背になっていませんか?
喜多川歌麿筆「青僂仁和嘉・通いけり恋路の猫又」
⑩の知識・経験を楽しみましょう
近江八景は滋賀県の琵琶湖周辺に見られた8ヶ所の美しい景色です。
江戸後期に和歌や浮世絵で世に広まりました。
「石山や鳰の海てる月かげは
明石も須磨もほかならぬ哉」
近衛信尹(1565~1614年)
歌川広重筆「石山秋月」 安政4年(1857)
日本舞踊を通じて浮世絵を知っていると、実際に観た時の面白さはまた格別です。
年数を置いて、再度お稽古するのも面白さの一つです。たま樹も2017年に「廓八景」をお稽古して、2023年に舞台で踊らせて頂きました。
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材料①~⑤を⑥の心持ちを忘れずに、じっくり心身に入れましょう。
煮汁⑦~⑨を加えて、ひと煮立ちさせ、アクが出たら取り除きます。落しぶたをして、ときどき混ぜながら煮込みましょう。(お稽古頑張りましょう。)
お好みで⑩を加えると、楽しさ面白さと学びに一味二味と深みが増します。
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コラムに使わせて頂いた浮世絵の出典
国立文化財機構所蔵品統合検索システム様
ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)
『古典芸能と源平合戦』のコラムを書きたいのですが、かなりお時間を頂くかと思うので…
次回先に『日本舞踊の流派って何?』を書かせて頂きます!
皆様よい御年を御迎えください!
2025年12月28日 西川たま樹







